富士通(FUJITSU)
非常に有名な大手コンピューターメーカーで、 ここ数年はDOS/V互換機のFMVシリーズでかなりの売り上げを記録しています。おおもとは富士電機の子会社でしたが、今では既に親会社を越える規模になっています。
パソコン以前から業務用コンピューターで業界トップに立っており、パーソナルコンピュータにはその創成期からかかわってきました。しかし、業界大手という自負が災いしたのか、個々の機能は優れているものの、総合的・マーケティング的にはどこかちぐはぐなパソコンを生産していました。今のDOS/V機の躍進を見ると考えられませんが。
(当時のパソコンはまだ小さな分野であったので、
富士通にとっては余興みたいなものだったのでしょうか?)
所有機種
FM-8
ビジネスコンピューターの大手、
富士通が初めて手がけた一般用パソコンです。
NECのPC-8001の成功を見て、ついに富士通が乗り出したと、
当時かなり話題になったようですが、価格が高いこともあり、
あまり売れなかったと記憶しています。
機能的には、サブCPUやバブルメモリの採用など、
見るべき点も多いのですが、キーボード部分に比べて大きすぎるボディや、
配色にオレンジを使うなど 意欲的だがどこかうまくないデザインなど、
いまいちぱっとしないところがありました。
ただし、PC-8001のZ80に対抗して、
当時究極の8ビットCPU(モトローラではMPUと呼んだ)と言われた
MC6809を採用したのは非常に注目すべき点であると思います。
しかしながら、当時普及しつつあった8ビットOS、CP/Mの影響か、
オプションでZ80ボードを設定してしまうあたりが、
弱腰に見えなくもありません。
この傾向は、後の富士通のCPU採用にも色濃く表れており、
世代を重ねるごとにしばしばインテルとモトローラを入れ替えています。
(2004/7/23)
FM-7
FM-8の失敗(したと思うが・・・)を教訓に、
機能の絞りこみと低価格化をなし遂げた、富士通のヒットマシン。
基本的にはFM-8と同じですが、
あまり使われなかったバブルメモリを廃止し、入出力コネクタの一部省略、
小型化、白系を基調としたデザインへの変更など、
かなりの変更がなされました(互換性も失われましたが)。
しかも、PC-8001に比べて、グラフィックや音楽機能で上位に立ち、
なおかつ価格も低めにおさえるという、
マニアもおもわず欲しくなる設定でした(らしい)。
ただし弱点もあり、後発であること、テキスト画面用のメモリを持たず、
文字もグラフィックで描いている(現在では当たりまえですが、
当時のCPUでは動作が重かった)ことなどが、挙げられています。
特に後者は、プログラムリストの表示が非常に遅くなるため、
自分でプログラムするマニアにとっては深刻な問題でした。
この点を除けば、後はおおむね好評で、
以後、PC-8001シリーズの好敵手となっていったのです。
FM-7もFM-8と同じくMC6809を採用していましたが、
やはりオプションでZ80ボードも販売され、
CP/Mを走らせたユーザーもいたようです。
後継としてFM-NEW7も発売されましたが、価格改定が主であり、
外観や機能に変化はありませんでした(100%互換)。
(2004/7/23)
FM-77D2
FM-7の事実上の後継機として発売されました。
FM-8,FM-7と続いたキーボード一体型から分離難に進化し、
FDDを2台まで内蔵できます。同じくNECのキーボード分離型8ビット機である
PC-8801シリーズの対抗馬と言えるでしょう。
ただし、キーボードケーブルが初代8801以上に太く、
またきつめの黄色であったため、
本体のホワイトカラーとデザイン的にかなり違和感がありました。
これは恐らく、キーボード一体型で開発を終了し、新製品発表直前になって、
急遽上層部からキーボード分離型への変更を求められたため、
内部の信号線をそのまま引き出してしまったためではないか、
と当時の「アスキー」に書かれていたように記憶しています。
後継のLシリーズではケーブルの色が白くなり違和感は減りましたが、
まだまだケーブルは太く、取りまわしはやや不便でした。
また、初期型では、動作モードの変更などを行うために、
筐体前面に取り付けられた、プッシュボタン式のセレクトスイッチに、
その縁を覆うような透明のプラスチックのカバーがかけられていました。
ためしに、手持ちの機体でこれを外してみたところ、
ボタンをを切り替えた際、戻ってきた別のボタンが勢いよく飛び出し、
ボタンの頭が外れ飛んでしまいました。
どうやらこの透明プラスチック部品は、上記対策として後付けさたようです。
キーボードケーブルの件もあわせて、当時の富士通はFM-77の発売を
かなり急いでいたのようです。PC-8801のヒットのせいでしょうか。
(2004/7/23)
FM-77AV1
FM-77を元に、映像と音楽機能を強化したマシンで、
当時としては驚異の4096色同時表示を実現。
「総天然ショック(色)」という、ややベタなキャッチフレーズで、
この後の表示色数競争の口火を切りました。
SHARPのMZやX1、NECのPC-8801などでも、新機種やオプションボードなどで
追随することとなった、注目の機種でした。
(フルカラー(1600万色)が当たり前となった現在から見ると、
隔世の感がありますが。)
ただし、それ以外の基本構成は、これまで通り8ビット、
MPUもMC6809のままであったため、どんどん処理が重くなり、
高機能だが低速度という状態に陥り始めていました。
(ちょうど、小排気量の車にクーラーなどオプションや荷物を積み過ぎて、
豪華ではあるが遅くなってしまうような状態でしょうか。)
また、キーボードが赤外線ワイヤレス形式になりましたが、
FDDが本体にあったため、あまり離れて使用する機会はありませんでした。
また、ケーブルが邪魔にならなくなったのはよいのですが、
キーボードの上に物を置き忘れたりすると、
本体のON/OFFにかかわらず電池が消耗してしまうため、
翌朝には動かなくなっていた、なんていう事故がよくあったようです。
(もちろん有線でつなぐこともできましたし、
このときは本体から電源が供給されしたので、
電池が無くても使えないことはありません)。
(2004/7/23)
FM-11EX
初期FMシリーズのハイエンド機の1バージョン。
EXは最初に発売されたFM-11シリーズの一つで上位機種。
CPUにはインテルの8088(8086の外部8bit版)を搭載していました。
OSとしてはCP/M86が動きました。
またオプションで、モトローラのMC6809を搭載できました
(富士通らしい・・・)。
これにより、当時としては比較的優れたOSであったOS-9が稼働したため、
標準でMC6809を採用した下位機種のFM-11ADとともに、
OS-9の普及に一役かったと思われます。(今では誰も知りませんが)
(2004/7/23)
FM-16π
FMシリーズの主力16ビット機として、FM-11の後継および
FM-77の上位機種としてFM-16βシリーズがありましたが、
このFM-16πはその可搬型(ラップトップ)として発売されました。
画面はやや狭いのですが、OSとしてCP/M86が稼働しました。
ただ、ビジネスユースをメインターゲットにしていたようで、
一般にはあまり話題にならなかったと記憶しています。
(1998/10/2)(2004/7/23)
FM-R30HX
FM-16βシリーズの後を受けつぐFMRシリーズの普及機で、
持ち運びを可能にしたポータブルコンピュータです。
外観は縦箱型で、キーボードを取り出した奥に
バックライト付きの液晶ディスプレイがあります。
天板にプリンタを固定できるなど、デザイン的には
ワープロ専用機のオアシスなどに近いものがあります。
液晶画面は見やすく、キーボードも打ちやすいです。
また、20MBのハードディスクと2台の3.5'FDDを内蔵しながら、
2つの拡張スロットや各種拡張コネクタ、
更には電源コードの自動巻きとり(掃除機と同じ)などを装備し、
その使い勝手とスペース効率のよさには、
目を見張るものがありました(当時としては)。
私の所有機は譲って頂いたものですが、
なぜかHDDがありません・・・。
(2004/7/23)
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